近年、派遣業界でよく聞くようになった言葉に「同一労働同一賃金」があります。
これは働き方改革の一環として導入された制度で、同じ仕事をしているにもかかわらず、不合理な待遇差が生まれないようにするためのルールです。
この制度の導入により、労働者派遣事業では派遣社員の待遇を決める際に、次のいずれかの方式を採用する必要があります。
- 派遣先均等・均衡方式
- 労使協定方式
このうち、現在多くの派遣会社が採用しているのが**「労使協定方式」**です。
しかし、派遣社員として働く方や、派遣社員を受け入れている企業の担当者からは
- 労使協定方式とは何なのか
- 派遣社員の給与はどのように決まるのか
- 同一労働同一賃金とどう関係しているのか
といった疑問をよく耳にします。
実際、派遣社員の賃金は単純に「派遣会社が自由に決めている」わけではありません。
厚生労働省が公表する賃金データを基準に、一定のルールに基づいて決定される仕組みになっています。
さらに、労使協定方式では
- 一般労働者の賃金水準以上であること
- 賞与や退職金の取り扱い
- 通勤手当の扱い
- 職種ごとの賃金基準
など、細かい基準が設けられており、派遣会社は毎年その基準に沿って協定を作成し、運用する必要があります。
2026年度(令和8年度)も、厚生労働省から新しい賃金水準が公表されており、派遣業界ではそれに合わせた見直しが行われています。
この記事では、派遣会社が採用することの多い**「労使協定方式」について、令和8年度の制度をもとに、できるだけ分かりやすく解説**します。
派遣社員として働く方、派遣社員を受け入れている企業担当者の方にとっても、派遣の賃金の仕組みを理解する参考になれば幸いです。
1.同一労働同一賃金とは?派遣業界の基本ルール
まず、「労使協定方式」を理解するために欠かせないのが 同一労働同一賃金の考え方です。
同一労働同一賃金とは、簡単に言えば
同じ仕事内容なのに、雇用形態の違いだけで不合理な待遇差をつけてはいけない
というルールです。
この制度は、働き方改革関連法の一環として導入され、2020年から段階的に適用されています。
正社員と非正規雇用の間で生じがちな待遇差を見直し、公平な労働環境をつくることが目的です。
派遣業界では、この制度の影響が特に大きく、派遣社員の待遇を決める際には法律に基づいた方法で決定する必要があります。
派遣の待遇決定には2つの方式がある
労働者派遣法では、派遣社員の待遇を決める方法として、次の2つの方式のどちらかを採用することが義務付けられています。
① 派遣先均等・均衡方式
この方式は、派遣先企業の社員と比較して待遇を決める方法です。
たとえば派遣先企業で同じ仕事をしている社員が
- 時給換算で1500円
- ボーナスあり
- 各種手当あり
という条件で働いている場合、派遣社員の待遇もそれに近い水準に調整する必要があります。
つまり、派遣社員と派遣先社員との間に、不合理な待遇差があってはいけないという考え方です。
しかしこの方式は、派遣先企業ごとに待遇を確認する必要があり、実務的には非常に手間がかかります。
② 労使協定方式
もう一つが、今回の記事のテーマである 労使協定方式です。
この方式では、派遣会社(派遣元)と労働者代表が協定を結び、その協定に基づいて派遣社員の待遇を決定します。
ただし、自由に賃金を決められるわけではありません。
重要なルールとして
派遣社員の賃金は、同じ職種の一般労働者の平均賃金以上であること
が求められています。
この基準となる賃金は、厚生労働省が毎年公表しており、派遣会社はそのデータを参考にして給与水準を設定します。
多くの派遣会社が採用している方式
現在、日本の派遣会社の多くは労使協定方式を採用しています。
理由としては
- 派遣先ごとに待遇を比較する必要がない
- 職種ごとの賃金設計がしやすい
- 派遣先企業との調整が比較的少ない
といった実務上のメリットがあるためです。
そのため、派遣社員として働く場合でも、派遣会社がどの方式を採用しているかによって、賃金の決まり方が異なる可能性があります。
2.労使協定方式とは?派遣会社と労働者で決める待遇ルール
労使協定方式とは、派遣会社(派遣元)と労働者代表が協定を結び、その内容に基づいて派遣社員の待遇を決定する仕組みです。
「労使協定」とは、文字どおり
労働者側(労)と使用者側(使)が取り決める協定のことを指します。
派遣会社の場合、この協定は
- 労働組合
または - 労働者の過半数代表
と締結することが法律で定められています。
そして、この協定の中で主に決められるのが
- 賃金の決め方
- 賞与の扱い
- 退職金の扱い
- 通勤手当
- 教育訓練
- 福利厚生
といった、派遣社員の待遇全体です。
ただし、ここで重要なのは、労使協定方式は「自由に賃金を決められる制度ではない」という点です。
一般労働者の賃金以上が必要
労使協定方式では、派遣社員の賃金は次の基準を満たす必要があります。
同じ職種・地域で働く一般労働者の平均賃金以上
この基準となる賃金は、厚生労働省が毎年公表しています。
たとえば
- 一般事務
- 製造作業員
- ITエンジニア
- 介護職
など、職種ごとに賃金の基準が定められており、派遣会社はその水準以上になるよう給与を設定する必要があります。
そのため、派遣会社は毎年、厚生労働省の統計データを確認しながら、労使協定の内容を見直しています。
協定には有効期間がある
労使協定は一度作れば終わりではありません。
多くの派遣会社では
1年ごとに更新
する形になっています。
これは、厚生労働省が毎年発表する
- 一般賃金
- 地域指数
- 通勤費相当額
などが変わるためです。
例えば、令和8年度(2026年度)でも、賃金水準や通勤費相当額などが見直されています。
そのため、派遣会社は毎年新しいデータを確認し、労使協定の内容を更新する必要があります。
派遣社員にも説明義務がある
労使協定方式を採用している場合、派遣会社は
- 派遣社員
- 派遣先企業
に対して、協定の内容を説明する義務があります。
具体的には
- 自分の賃金がどのように決まっているのか
- どの賃金データを基準にしているのか
などについて、説明を求められた場合には対応する必要があります。
このように、労使協定方式は
- 派遣社員の待遇を守るための仕組み
- 派遣会社の賃金設計の基準
として重要な制度になっています。
3.労使協定方式で派遣社員の賃金はどう決まる?
労使協定方式では、派遣社員の賃金は派遣会社が自由に決めているわけではありません。
厚生労働省が公表している賃金データを基準に、一定のルールに沿って設定する必要があります。
そのため、派遣社員の給与は大きく次のような要素を組み合わせて決められます。
- 一般賃金
- 地域指数
- 賞与相当
- 退職金相当
- 通勤手当
これらを合計した水準が、厚生労働省の示す基準以上であることが求められます。
一般賃金(基準となる賃金)
労使協定方式の基本となるのが 一般賃金です。
一般賃金とは、
同じ地域で同じ仕事をしている一般労働者の平均賃金
のことを指します。
厚生労働省は毎年、次の統計データをもとに賃金水準を公表しています。
- 賃金構造基本統計調査
- 職業安定業務統計
このデータをもとに
- 事務職
- 製造
- ITエンジニア
- 介護職
- 営業職
など、職種ごとに賃金基準が設定されています。
派遣会社は、この一般賃金を下回らないように派遣社員の給与を設定する必要があります。
地域指数(地域ごとの賃金差)
日本では地域によって賃金水準が大きく異なります。
そのため、労使協定方式では 地域指数という補正が行われます。
例えば
- 東京
- 愛知
- 大阪
などの都市部は賃金水準が高く、地方ではやや低くなる傾向があります。
そのため、同じ職種でも地域によって基準賃金が変わる仕組みになっています。
例えば愛知県であれば、愛知の地域指数を使って賃金を計算します。
賞与(ボーナス相当)
労使協定方式では、賞与を必ず支給する必要があるわけではありません。
その代わりに
賞与相当額を時給に上乗せする
という方法が認められています。
例えば
- ボーナスを支給する
または - 時給に賞与相当分を含める
という形で待遇を設計します。
退職金(退職金相当)
退職金についても同様で、
- 退職金制度を設ける
または - 時給に退職金相当分を加算する
という方法があります。
多くの派遣会社では、退職金相当分を時給に含める形を採用しています。
一般的には
時給の約5%程度
が退職金相当とされています。
通勤手当
通勤費も待遇の一部として考える必要があります。
そのため
- 実費支給
または - 時給に加算
という方法で対応します。
厚生労働省では、通勤費の目安として
通勤費相当額を毎年公表しています。
令和8年度では
通勤費相当額:79円
となっています。
派遣社員の時給はこうして決まる
労使協定方式では、最終的に次のような考え方で時給が設計されます。
基本賃金
+
賞与相当
+
退職金相当
+
通勤手当
この合計が、厚生労働省の示す基準以上であることが必要です。
つまり派遣社員の給与は、
厚生労働省の賃金統計を基準に計算された水準
で決まる仕組みになっています。
4.なぜ多くの派遣会社が「労使協定方式」を採用しているのか
現在、日本の多くの派遣会社が採用しているのが「労使協定方式」です。
厚生労働省の資料でも、派遣会社の多くがこの方式を選択していることが示されています。
では、なぜ労使協定方式が広く採用されているのでしょうか。
その理由には、派遣業界の実務に関係するいくつかのポイントがあります。
派遣先ごとに待遇を比較する必要がない
もう一つの方式である「派遣先均等・均衡方式」では、派遣先企業の社員と待遇を比較して賃金を決める必要があります。
例えば、
- 同じ業務の社員はいくらもらっているのか
- ボーナスはどの程度支給されているのか
- 福利厚生はどうなっているのか
といった情報を、派遣会社が把握しなければなりません。
しかし、派遣先企業によって給与体系や福利厚生は大きく異なります。
さらに、企業によっては社内の給与情報を外部に詳しく開示できない場合もあります。
そのため、派遣先均等・均衡方式は実務上かなり運用が難しいケースがあります。
その点、労使協定方式であれば、派遣会社と労働者代表の間で決めた基準に基づいて賃金を設定できるため、実務的に運用しやすいというメリットがあります。
職種ごとに賃金設計ができる
労使協定方式では、厚生労働省が公表している「一般賃金」を基準に、職種ごとに給与を設計することができます。
例えば、
- 一般事務
- 製造業務
- ITエンジニア
- 介護職
など、職種ごとに賃金水準を設定することができます。
そのため、派遣会社としても
- スキル
- 経験
- 業務内容
に応じた給与体系を作りやすいという特徴があります。
派遣先企業との調整が比較的少ない
派遣先均等・均衡方式では、派遣先企業との情報共有や待遇比較が必要になります。
一方で労使協定方式では、賃金の基準は厚生労働省の統計データに基づいて決めるため、派遣先企業との細かな調整が比較的少なくなります。
そのため、
- 派遣会社
- 派遣先企業
双方にとって、実務上の負担が少ない方式といえます。
派遣社員の待遇を一定水準以上に保てる
労使協定方式では、
一般労働者の平均賃金以上
という基準があるため、派遣社員の待遇を一定水準以上に保つことができます。
これは同一労働同一賃金の目的である
不合理な待遇差をなくす
という考え方にもつながっています。
このように、労使協定方式は
- 実務上の運用のしやすさ
- 賃金設計の自由度
- 派遣社員の待遇確保
といった点から、多くの派遣会社に採用されています。
5.令和8年度の労使協定方式で押さえておきたいポイント
労使協定方式は一度決めれば終わりという制度ではありません。
厚生労働省が毎年公表する賃金データに合わせて、派遣会社は毎年協定内容を見直す必要があります。
令和8年度(2026年度)も、いくつか重要な変更点があります。
派遣会社や派遣先企業にとっても知っておきたいポイントを整理しておきましょう。
一般賃金の水準が上昇している
労使協定方式では、派遣社員の賃金は
同種の業務に従事する一般労働者の平均賃金以上
であることが求められています。
この基準となる賃金は、厚生労働省が毎年公表しており、令和8年度も多くの職種で賃金水準が見直されています。
近年は
- 最低賃金の引き上げ
- 人手不足
- 物価上昇
といった影響もあり、全体として賃金水準は上昇傾向にあります。
そのため、派遣会社では協定賃金を見直す必要があるケースも増えています。
通勤費相当額の変更
労使協定方式では、通勤手当の扱いについてもルールがあります。
通勤費については
- 実費支給
または - 時給に加算
という形で対応します。
厚生労働省では通勤費の目安として「通勤費相当額」を毎年公表しており、令和8年度は
通勤費相当額:79円
となっています。
この金額は、時給に通勤費を含めて支給する場合の目安として使用されます。
職業分類の見直し
一般賃金の算定では、職種ごとに賃金基準が定められています。
この職種分類には
厚生労働省の職業分類
が使用されており、近年は新しい職業分類が採用されています。
例えば
- IT関連職種
- 専門職
- 技術職
など、細かい分類が追加・整理されています。
そのため、派遣会社では
- 派遣業務の職種区分
- 対応する賃金データ
が正しく対応しているか確認する必要があります。
労使協定の更新
労使協定には有効期間があります。
多くの派遣会社では
1年間
の協定期間を設定しているため、毎年新しい協定を作成することになります。
その際には
- 最新の一般賃金
- 地域指数
- 通勤費相当額
などを確認し、協定内容を見直します。
また、協定を締結する際には
- 労働組合
または - 労働者の過半数代表
との合意が必要です。
派遣先企業も理解しておくことが大切
労使協定方式は派遣会社の制度ではありますが、派遣先企業にも関係があります。
なぜなら、派遣料金には
- 賃金
- 社会保険
- 退職金
- 通勤費
- 教育費
- 管理費
などが含まれているためです。
つまり、派遣社員の待遇を守るためには、一定の派遣料金が必要になるということです。
派遣先企業としても、こうした制度を理解しておくことで、派遣料金の仕組みをより正しく理解することができます。
まとめ
労使協定方式は、同一労働同一賃金の考え方をもとに、派遣社員の待遇を守るために設けられた制度です。
ポイントを整理すると
- 派遣社員の賃金は一般労働者の平均賃金以上
- 厚生労働省が毎年賃金データを公表
- 派遣会社は毎年労使協定を更新
- 令和8年度も賃金水準が見直されている
という仕組みになっています。
派遣社員として働く方にとっても、派遣社員を受け入れる企業にとっても、派遣の賃金の仕組みを理解することはとても重要です。
制度の背景を知ることで、派遣という働き方や人材活用の仕組みをより深く理解することにつながるでしょう。
6.派遣先企業が知っておくべき「労使協定方式」と派遣料金の関係
労使協定方式は派遣会社と労働者の間で決められる制度ですが、実際には派遣先企業にも大きく関係する仕組みです。
特に企業担当者からよく聞かれるのが
- なぜ派遣料金はこの金額なのか
- 時給より派遣料金が高い理由は何か
- 派遣会社のマージンはどれくらいなのか
といった疑問です。
これらを理解するためには、労使協定方式と派遣料金の関係を知ることが重要です。
派遣料金は給与だけではない
派遣料金は、単純に派遣社員の給与だけで決まっているわけではありません。
派遣料金には、主に次のような費用が含まれています。
- 派遣社員の給与
- 社会保険料(健康保険・厚生年金など)
- 雇用保険・労災保険
- 退職金相当
- 賞与相当
- 通勤手当
- 教育訓練費
- 管理費
これらを合計したものが派遣料金のベースになります。
労使協定方式では、派遣社員の賃金を一般労働者の平均賃金以上にする必要があるため、派遣会社が賃金を極端に低く設定することはできません。
そのため、派遣料金も一定の水準が必要になります。
派遣会社のマージンとは
派遣料金の中には、派遣会社の運営に必要な費用も含まれています。
一般的に派遣料金の内訳は、次のようなイメージになります。
- 派遣社員の給与
- 社会保険などの法定費用
- 教育・研修費
- 派遣会社の運営費
このうち、派遣会社の取り分としてよく「マージン」と呼ばれる部分があります。
ただし、このマージンの中には
- 営業活動
- 求人広告費
- 登録スタッフ管理
- 労務管理
- トラブル対応
など、人材サービスを維持するためのコストも含まれています。
派遣社員の待遇を守る制度
労使協定方式の大きな目的は、派遣社員の待遇を守ることです。
派遣社員は派遣先企業で働いていますが、雇用主は派遣会社になります。
そのため、派遣会社が適切な待遇を確保することが法律で求められています。
具体的には
- 一般賃金以上の給与
- 教育訓練の提供
- 福利厚生の確保
などが必要になります。
これらを実現するための仕組みが、労使協定方式です。
派遣先企業と派遣会社の役割
派遣という仕組みでは、
- 派遣会社
- 派遣先企業
それぞれに役割があります。
派遣会社は
- 雇用管理
- 給与支払い
- 労務管理
を担当します。
一方、派遣先企業は
- 業務指示
- 職場環境の整備
などを担当します。
このように役割を分担することで、企業は必要な人材を柔軟に活用することができます。
まとめ
労使協定方式は、同一労働同一賃金の考え方に基づいて、派遣社員の待遇を守るために導入された制度です。
ポイントを整理すると
- 派遣の待遇決定には2つの方式がある
- 多くの派遣会社が労使協定方式を採用
- 賃金は一般労働者の平均賃金以上
- 毎年厚生労働省が基準を公表
- 派遣料金は給与以外のコストも含まれる
という仕組みになっています。
派遣という働き方や人材活用の仕組みを理解するためには、こうした制度の背景を知ることも大切です。
派遣社員として働く方、そして派遣社員を受け入れる企業の担当者にとっても、労使協定方式は知っておきたい重要な制度といえるでしょう。
7.労使協定方式で派遣会社が注意すべきポイント
労使協定方式は派遣社員の待遇を守るための制度ですが、派遣会社にとっては適切に運用するための責任も求められます。
制度の内容を理解していないと、労働局の指導や行政指導の対象になる可能性もあるため、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
協定の締結は必須
労使協定方式を採用する場合、派遣会社は必ず
- 労働組合
または - 労働者の過半数代表
と労使協定を締結しなければなりません。
この協定が存在しない場合、労使協定方式を採用しているとは認められません。
また、協定の内容には
- 賃金の決定方法
- 協定の対象となる労働者の範囲
- 協定の有効期間
などを明確に記載する必要があります。
協定の有効期間
労使協定には有効期間があります。
一般的には
1年間
の期間で設定されることが多く、期間が終了する前に新しい協定を締結する必要があります。
これは、厚生労働省が毎年公表する
- 一般賃金
- 地域指数
- 通勤費相当額
などが更新されるためです。
もし協定期間が切れてしまうと、労使協定方式の要件を満たさなくなる可能性があります。
賃金水準の確認
派遣社員の賃金は、
同種の業務に従事する一般労働者の平均賃金以上
である必要があります。
そのため派遣会社は、厚生労働省が公表する賃金データを確認しながら、協定賃金を設定する必要があります。
特に注意が必要なのは
- 職種区分
- 地域指数
です。
職種の分類を誤ってしまうと、適切な賃金水準を満たさない可能性があります。
教育訓練の実施
労使協定方式では、賃金だけでなく
教育訓練の機会を提供すること
も求められています。
具体的には
- キャリアアップ研修
- 職種別研修
- スキルアップ研修
などを計画的に実施する必要があります。
これらは派遣社員のキャリア形成支援として、派遣会社の重要な役割となっています。
情報公開の義務
派遣会社には、派遣料金の内訳やマージン率などを公開する義務があります。
例えば
- 派遣料金の平均額
- 派遣社員の平均賃金
- マージン率
- 教育訓練の内容
などを、ホームページなどで公開する必要があります。
これは、派遣社員や派遣先企業に対して透明性を確保するための制度です。
まとめ
労使協定方式は、同一労働同一賃金の考え方をもとに、派遣社員の待遇を守るために導入された重要な制度です。
派遣会社にとっては
- 賃金設計
- 労務管理
- 派遣先との関係
など、事業運営に深く関わる制度でもあります。
制度の仕組みを正しく理解し、適切に運用することで、派遣社員が安心して働ける環境を整えることにつながります。
また、派遣先企業にとっても、派遣料金の仕組みや派遣社員の待遇を理解することで、より良い人材活用につながるでしょう。
労使協定方式は派遣社員の待遇を守るための制度
ここまで、派遣会社の「労使協定方式」について、同一労働同一賃金との関係を含めて解説してきました。
ポイントを整理すると、労働者派遣法では派遣社員の待遇を決める方法として、次の2つの方式のいずれかを採用する必要があります。
- 派遣先均等・均衡方式
- 労使協定方式
その中でも、現在多くの派遣会社が採用しているのが労使協定方式です。
労使協定方式では、派遣会社と労働者代表が協定を結び、その内容に基づいて派遣社員の賃金や待遇を決定します。ただし、賃金は自由に決められるわけではなく、厚生労働省が公表している一般労働者の平均賃金以上であることが求められています。
また、賃金だけでなく
- 賞与相当
- 退職金相当
- 通勤手当
- 教育訓練
なども含めて、派遣社員の待遇を総合的に設計する必要があります。
さらに、労使協定は毎年更新する必要があり、厚生労働省が公表する賃金データに合わせて見直しを行うことが重要です。令和8年度(2026年度)も、一般賃金や通勤費相当額などが見直されており、派遣会社ではそれに対応した協定の作成が求められています。
労使協定方式は、派遣社員の待遇を守ると同時に、派遣会社が適切な労務管理を行うための重要な仕組みです。
また、派遣先企業にとっても、派遣料金の背景を理解するうえで知っておきたい制度といえるでしょう。
派遣という働き方や人材活用の仕組みを理解するためにも、こうした制度の背景を知っておくことはとても大切です。

