「派遣は高いから、うちは直接雇用でやります。」
企業様とお話ししていると、本当によく耳にする言葉です。
確かに、時給だけを見れば派遣は高く感じます。数字だけを並べれば、直接雇用のほうが安いように見えるでしょう。
ですが、その比較は本当に“総コスト”で考えられているでしょうか。
直接雇用には、給与以外にもさまざまな負担が発生します。
求人広告費、面接や選考にかかる時間、教育期間の人件費。
さらに、人件費は給与だけではありません。
教育、管理、社会保険、雇用保険、労災保険、有給休暇。
加えて、勤怠管理や労務手続き、健康診断、備品や制服の準備、トラブル対応、突然の退職による現場の混乱――。
これらは一つひとつを見ると小さく見えるかもしれません。
しかし積み重なると、決して無視できないコストになります。
一方で、派遣は「時給が高い」という印象が先行しがちです。
ですが派遣は、採用活動や労務管理の一部を外部化できる仕組みでもあります。
固定費になりがちな人件費を、状況に応じた変動費に変える選択肢とも言えるのです。
大切なのは、「どちらが安いか」ではありません。
自社の状況にとって、どちらが合理的かという視点です。
本記事では、直接雇用と派遣を“感覚”ではなく“構造”で比較し、
本当の採用コストとは何かを整理していきます。
「派遣は高い」と思っている方ほど、ぜひ最後までお読みください。
もしかすると、採用の見方が変わるかもしれません。
1.|直接雇用の“見えないコスト”を分解する
「直接雇用のほうが安い。」
この考え方は、多くの場合“時給”だけで判断されています。
しかし実際には、採用コストは給与以外の部分で大きく膨らみます。
ここでは、直接雇用にかかるコストを一つずつ整理していきます。
① 募集段階で発生するコスト
まず発生するのは、募集そのものにかかる費用と時間です。
・求人媒体への掲載費
・自社ホームページの作成・修正
・採用時の対応(時間)
求人媒体は無料枠もありますが、応募が集まらなければ有料掲載に切り替えるケースが多くなります。
また、自社ホームページの採用ページを整えるには、文章作成や修正、写真撮影、更新作業などの手間がかかります。
そして意外と見落とされがちなのが「採用時の対応時間」です。
応募者とのやり取り
面接日程調整
書類確認
面接実施
合否連絡
入社手続き
これらはすべて社内の誰かが対応しています。
仮に1名採用するために5名面接したとします。
1人あたり2時間かかれば、合計10時間。
その10時間は、本来の業務から切り出された時間です。
管理職や社長が対応している場合、その時間単価は決して低くありません。
募集は“無料”に見えても、
実際には確実に社内コストが発生しています。
② 採用後に発生する教育・管理コスト
採用できたら終わりではありません。
新人教育には時間がかかります。
OJT担当者の時間
業務説明
ミスのフォロー
マニュアル整備
新人がすぐに100%の戦力になることはほとんどありません。
例えば3ヶ月間、生産性が70%だったとします。
残りの30%は“機会損失”です。
さらに、教育担当者の負担が増えれば、既存社員の業務効率にも影響します。
これは数字に表れにくいコストです。
③ 法定福利費と労務リスク
人件費は給与だけではありません。
教育、管理、社会保険、雇用保険、労災保険、有給休暇。
これらはすべて企業負担です。
さらに、
健康診断
勤怠管理
年末調整
労務トラブル対応
人を雇うということは、
労務管理という責任を抱えることでもあります。
④ 最大のリスクは“退職”
そして、最も大きな不確実性が退職リスクです。
せっかく募集し、時間をかけて教育した人材が、
・数ヶ月で退職
・突然の欠勤
・戦力化する前に離脱
となれば、採用コストは回収できません。
再び募集からやり直しです。
現場の負担は増え、
既存社員のモチベーションにも影響します。
直接雇用は本当に“安い”のか
直接雇用が悪いわけではありません。
長期育成には大きな価値があります。
しかし、短期的な人員不足や急な欠員補充においては、
固定費として抱えるリスクは決して小さくありません。
時給だけで比較すると見えないものが、
構造で分解すると見えてきます。
2.|派遣は本当に高いのか?構造で比較する
「派遣は時給が高い。」
これは事実です。
しかし、それだけで“高い”と結論づけてよいのでしょうか。
ここでは感情ではなく、仕組みで比較していきます。
① 時給の中に何が含まれているか
派遣料金は一見すると高く見えます。
しかし、その中には以下が含まれています。
・社会保険
・雇用保険
・労災保険
・有給休暇
・募集活動
・採用業務
・労務管理
・契約管理
つまり、直接雇用で企業側が負担していた多くの業務とコストが、あらかじめ組み込まれています。
「高い」のではなく、
“まとめて外部化している”という見方もできます。
② 固定費か、変動費か
ここが経営上の大きな違いです。
直接雇用は固定費です。
売上が落ちても、毎月の給与は発生します。
派遣は変動費です。
必要な期間・必要な人数だけ利用できます。
例えば、
・繁忙期だけ人を増やしたい
・急な退職の穴を埋めたい
・新規事業のテスト運用をしたい
このようなケースでは、
固定費よりも変動費のほうが経営リスクは小さくなります。
人件費を“調整可能”にできる点は、派遣の大きな特徴です。
③ 採用リスクの分散
直接雇用の場合、
募集 → 面接 → 採用 → 教育 → 定着
というプロセスすべてを自社で担います。
派遣の場合、
募集と一次選考は派遣会社が行います。
仮に合わなかった場合も、契約条件の範囲内で調整が可能です。
「合わなければまた最初から」ではなく、
リスクを分散できる仕組みになっています。
④ スピードという価値
採用活動には時間がかかります。
求人掲載から採用まで、
早くても数週間。
しかし現場は“今すぐ”人が必要なことが多い。
派遣はこの“時間差”を埋める手段です。
空白期間による生産性低下や
既存社員の負担増加を防ぐという意味では、
時給以上の価値がある場合もあります。
⑤ それでも派遣が向かないケース
もちろん、派遣が万能というわけではありません。
・長期的に幹部候補を育てたい
・企業文化を浸透させたい
・専門性の高いポジションを固定したい
このような場合は直接雇用が適しています。
重要なのは「どちらが正しいか」ではなく、
目的に合っているかどうかです。
派遣は“高い”のではなく“使い方の問題”
時給だけを見れば高く見えます。
しかし、総コストと経営リスクまで含めると、
必ずしも割高とは言い切れません。
採用は“価格”ではなく“設計”です。

3.|「人が続かない」は本当に人材の問題か?
「最近の若い人は続かない」
「採用してもすぐ辞める」
多くの企業様から聞く言葉です。
しかし本当にそれは“人材の質”の問題なのでしょうか。
実は、定着しない原因の多くは
採用後の仕組みにあります。
① 教育が属人化している
新人教育を“ベテラン任せ”にしていませんか?
・マニュアルがない
・教え方が人によって違う
・質問しづらい空気がある
この状態では、新人は不安を抱えたまま働くことになります。
「できない」のではなく、
「何が正解かわからない」のです。
結果として、
自信を失い、退職につながるケースは少なくありません。
② 面談がない会社は危険
定着している企業の共通点は、
“対話の機会がある”ことです。
月に一度でも、
・困っていることはないか
・業務量は適切か
・人間関係に問題はないか
を確認している会社は、離職率が低い傾向にあります。
逆に、何も聞かれない環境では
不満は蓄積します。
辞めるときは、突然です。
③ 放置が一番のリスク
「忙しいからあとで」
「そのうち慣れるだろう」
この“放置”が、実は最大のコストになります。
新人は孤立し、
既存社員は負担を抱え、
現場の空気は悪化する。
そしてまた退職。
再び募集。
この負のループは、
採用費以上の損失を生みます。
④ 派遣でも“放置”すれば同じ
ここで重要なのは、
派遣だから定着するわけではない、という点です。
派遣スタッフも同じ人間です。
フォローがなければ、
モチベーションは下がります。
つまり問題は「雇用形態」ではなく、
“フォロー体制”にあります。
⑤ 第三者が入る意味
ここで初めて、派遣会社の役割が出てきます。
エスネット東海では、
派遣スタッフに対して月1回の面談フォローを行っています。
企業様に直接言いづらいことも、
第三者である私たちには話してくれるケースがあります。
・業務の不安
・人間関係の悩み
・シフトの問題
小さな違和感の段階で調整できれば、
大きなトラブルにはなりません。
これは直接雇用では社内だけで抱える部分です。
第三者が入ることで、
“早期発見・早期対応”が可能になります。
定着は「仕組み」で決まる
人が続かない会社は、
採用を増やします。
人が続く会社は、
仕組みを整えます。
採用コストを抑える最大の方法は、
“辞めない環境を作ること”です
4.|後払い制度はなぜ企業リスクを下げるのか
派遣の場合はあくまで派遣社員が働いた時間に派遣料金を掛けてご請求いたします。
言ってみれば「完全、後払い」
「後払いって、本当に大丈夫なの?」
正直に言えば、そう思われる企業様もいらっしゃいます。
人材業界では、契約時や紹介時に費用が発生する仕組みが一般的だからです。
ですが、ここで考えていただきたいのは
“お金が動くタイミング”が経営に与える影響です。
① 採用前にお金が出ていくリスク
通常の採用活動では、
・求人掲載費
・採用成功報酬型の求人
・採用代行や紹介会社の一部
など、成果が出る前にコストが発生するケースがあります。
仮に採用しても短期離職した場合、
その費用は基本的に戻りません。
つまり、
「人が定着するかどうかが不確実な段階で、先に資金が出ていく」
という構造です。
中小企業にとって、これは小さくない負担です。
② 後払いは“成果連動型”という考え方
後払い制度は、
実際に稼働してから費用が発生します。
つまり、
「働いている時間に対して支払う」
というシンプルな構造です。
これにより、
・採用前の先出しコストがない
・キャッシュフローを圧迫しない
・成果と支払いが連動する
というメリットが生まれます。
怪しいのではなく、
むしろ企業側のリスクを小さくする設計です。
③ キャッシュフローの安定は経営の安定
採用は“未来への投資”ですが、
資金繰りは“今”の問題です。
固定費が増えれば、
売上変動時のリスクも増えます。
後払い制度は、
支払いタイミングを後ろにずらすことで、
経営の安定性を高める仕組みとも言えます。
④ 信頼が前提の仕組み
もちろん、後払いは
派遣会社側にとってもリスクがあります。
だからこそ、
・現場ヒアリング
・適切な人材マッチング
・月1回のフォロー
が重要になります。
“入れて終わり”では成り立ちません。
継続して働いてもらうことが、
双方にとって利益になる仕組みだからです。
後払いは「安い」ではなく「合理的」
後払い制度は値引きではありません。
企業のリスクを減らす設計です。
採用は感情ではなく、
構造で選ぶ時代です。
5.|結論:派遣と直接雇用は「対立」ではなく「設計」
ここまで読み進めていただいた方は、
もうお気づきかもしれません。
問題は、
「派遣は高いか、安いか」
ではありません。
どう使い分けるかです。
① 直接雇用が向いているケース
・長期的に育成したい
・企業文化を浸透させたい
・幹部候補を育てたい
・専門性を社内に蓄積したい
このような場合は、直接雇用が適しています。
時間をかけて育てることで、
企業の資産になります。
② 派遣が向いているケース
・急な退職による欠員補充
・繁忙期だけ人員を増やしたい
・新規事業をテストしたい
・採用に割く時間が足りない
このような場面では、
派遣は“スピードと柔軟性”という価値を持ちます。
固定費を増やさず、
必要な期間だけ人材を確保できる。
経営リスクを抑えるという意味では、
合理的な選択肢です。
③ ハイブリッドという選択
実際、多くの企業様が
・コア人材は直接雇用
・サポート人材は派遣
という形を取っています。
すべてをどちらかに寄せる必要はありません。
採用は“二択”ではなく、
組み合わせの設計です。
④ 採用コストを下げる本当の方法
採用コストを下げる方法は、
時給を下げることではありません。
・無駄な募集を減らす
・退職リスクを減らす
・教育負担を減らす
・経営の変動リスクを減らす
これらを整理することです。
その結果として、
総コストは自然と下がります。
⑤ 最後に
「派遣は高い」と思っていた企業様が、
実際に総コストで比較すると、
「思っていたより合理的だった」
と感じられるケースは少なくありません。
もちろん、すべての企業様に派遣が最適とは言いません。
だからこそ一度、
今の採用方法が本当に最適か
を整理してみる価値があります。
エスネット東海では、
無理な提案は行いません。
現状をお聞きし、
直接雇用が適している場合はそのままお伝えします。
採用は“営業トーク”ではなく、
経営判断です。
もし、
「一度整理してみたい」
そう思われたら、
お気軽にご相談ください。
